Joy と Happiness について (Joy and Happiness)

 2021 年に実施された愛知教育大学の英語入試問題に、"joy" と "happiness" についての興味深い英文が、試験問題として取り上げられている。

 最近の人々は、幸福を求めるよりも、喜びを追求しているようだ。その理由は、喜びは容易に見つかるし、至る所で発見できるからである。

She [Ingrid Fetell Lee] told Ms. Holson that the great thing about joy is that you do not need to be happy to feel it. And it is easy to find. Walking outdoors or tossing confetti can bring joy.

(訳) イングリッド・フェテル・リーはホルソンさんに、「喜びの素晴らしいことは、それを感じる際に幸せである必要がないからです。そして喜びを見つけるのは簡単です。戸外を歩いても、紙吹雪をまき散らすことも喜びをもたらします」

 しかし喜びがあまりにも大きいことは欠点となり、喜びばかりを追求することには危険がある、と指摘する学者もいる。

Michelle Shiota, an associate professor of social psychology at Arizona State University, told The Times that seeking joy in every moment to mask sadness or anger carries risks.

(訳) アリゾナ州立大学の社会心理学准教授のミシェル・シオタは、『タイムズ』に「悲しみや怒りを偽って、常に喜びを求めることは、危険が伴う」と語った。

 この英文の最後に、「真の幸福」の定義が示されているが、深く考えさせられるものがある。

True happiness is found in heart and mind, and does not rely on physical pleasure, which is fleeting.

(訳) 真の幸福は、心と精神に存在し、肉体の喜びに依存しない。肉体の喜びは消え去るものである。

"heart" と "mind" はよく一緒に用いられるが、ここで区別を明確にしておいた方がよいであろう。"heart" は「愛情・勇気など感情的な面に重きを置いた心」で、"mind" は「理知および意志の作用に重きを置いた心」である。これは竹林滋『新英和大辞典』第六版 (研究社、2002年) の定義を引用したものである。

 それから "fleet" という英語があるが、動詞の意味は「いつの間にか過ぎ去る、消え去る」であるが、"fleeting" を形容詞と考えると「つかの間の、はかない」という意味になる。上記の英文では、肉体的な快楽は、はかないということである。

 最後に Psychology Today にアインシュタインの幸福論が引用してあるので、それを紹介しよう。

"Well-being and happiness never appeared to me as an absolute aim. I am even inclined to compare such moral aims to the ambitions of a pig." The author was a relatively happy man named Albert Einstein.

(訳) 「安寧や幸福は、私には絶対的な目標とは、決して思われなかった。それらの精神的な野心は、豚の野望にたとえたいという気がする」この言葉を言った人は、アルバート・シュタインという比較的幸せな人物であった。

 幸福や喜びは、それ自体を追及しても得られるものではなく、自分の人生を充実させているときに、ふと訪れるものであろう。

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