イギリスの教育制度 (The Education system in England)
イギリスにおけるパブリック・スクールの位置づけ
イギリスの教育制度について、まず特徴的なことは、イギリスでは、公立の学校より私立の学校のほうが質が高いという事実である。当然の結果として、授業料は高額となり、裕福な子弟しか入ることはできない。日本の高校教育にあたるレベルでは、public school (パブリック・スクール) と comprehensive school (総合制中等学校) があり、public school は金持ちで優秀な子供が通い、将来、ケンブリッジ大学かオックスフォード大学に行き、多くの卒業生は、大学をでると政府の要人になる。Eton College (1440年設立) や Harrow School (1572年設立) は、有名な public school であり、多くの有名人を輩出している。
National Curriculum とは?
イギリスは、National Curriculum を採用しており、イギリス教育省が発表している文言は、次の通りである。
The national curriculum sets out the programmes of study and attainment targets for all subjects at all 4 key stages.
All local-authority-maintained schools in England must teach these programmes of study.
(訳) 国のカリキュラムは、4 つの主要な段階すべてで、すべての科目の学習プログラムと達成目標を設定している。 イングランドの地方自治体が運営するすべての学校では、これらの学習プログラムを教えなければならない。
資格試験受験の義務
またイギリスの子供たちは、the General Certificate of Secondary Education (一般中等教育資格試験) を受験しなければならない。この試験を受験することは、「義務教育の修了」を意味しており、通常、16歳で受験する。14 歳から the General Certificate of Secondary Education に向けた 2 年間のカリキュラムに沿って勉強する。学生は、最高 10 科目まで自己選択できる。試験は暗記の試験ではなく、理論的な思考と理解力が試される論文形式が主である。結果は A からアルファベット順に示される。もちろん A が最高評価となる。
次にイギリスの子供たちが待ちうけている試練は、the General Certificate of Education (一般教育資格試験) を受けることである。この試験には、Advanced Subsidiary Level と Advanced Level の 2 種類ある。この試験は、日本の大学の専門科目の初期課程と同じレベルであるが、カリキュラムは通常 2 年間で、選択できる科目は大変多い。
英語、数学のような基本的な科目以外に、法律、社会学などのような専門的な科目もある。Advanced Subsidiary Level と Advanced Level は大学入学のために必須の試験であり、学生は自分の希望する学部の入学条件を考慮して科目選択を行う。カリキュラムの 1 年目が修了した時点で、Advanced Subsidiary Level の試験を受け、その成績によって Advanced Level のカリキュラムに進むことができる。この試験の受験結果受験で進学する大学が決まる。A から E までの評価があるが、希望する大学に進学するには、なるべく A の評価を受ける必要がある。
上記の試験の他に、大学を受験しない学生が受ける試験がある、それは General National Vocational Qualifications (全国一般職業資格) と呼ばれ、広範囲の職業的知識や技術を学ぶカリキュラムの成果を試験するものである。ビジネス学、観光学、エンジニアリングなど実務的な要素が多い。
日本の大学との違い
イギリスの大学は入学は簡単であるが、卒業することが難しい。医学部や法律学部に入学することはかなり難しい。このブログの筆者は、イギリスのケンブリッジ大学に、二度留学した経験を持っているが、ケンブリッジ大学の学生は、朝から図書館にこもって、必死に勉強していた。ケンブリッジ大学図書館の閲覧室の席はいつも満員で、筆者も席が空くのを待った経験が何度もある。
イギリスでは、通常、大学は三年で卒業する。Bachelor of Arts (文学士) と Bachelor of Science (理学士) という学位があり、学位に優、良、可がある。次の英文で示されているように、大学で学んだ科目と祖遊行後の進路や就職は、必ずしも一致しない。
As in Japan, the relationship between the subject studied and the eventual employment of a student is loose in the UK.
(訳) 日本と同じように、イギリスでも、勉強した科目と就職先は必ずしも一致しない。
最後に、イギリスでは博士号 (Ph.D.) を取得することはかなり難しい。アメリカでは、博士コースを修了したら簡単に博士号がもらえるようであるが、イギリスでは多くの審査に通過しなければ博士号は得られない。イギリスにおける Ph. D. 取得については、インターネットで多くのブログがあり、そちらを参考にしてもらえばよいと思う。
