難解な英語文章 (A Difficult Passage)

太宰府市にある都府楼跡 (太宰府政庁跡)
次のような英文は、一般的な人が読解するのは、かなり骨が折れるであろう。英語専門家も手こずるかもしれない。しかしこのような英文を読解すると、頭の訓練になるので、定年退職して時間のある私としてはたいへんおもしろい。 次の英文は、2000 年に発刊された、高名なシェイクスピア学者 Edward Burns が編集した Arden 版 King Henry VI-Part One の 5 頁から 6 頁に書かれたものである。
Where in the two other plays we are aware of characters condemned and condemning to apparently irredeemably catastrophic courses of acion or inaction, here moments of decision are opened up to the spectator with a sense of the farcically unpredictable, of the self-aggrandizing littleness of individuals manufacturing for themselves and for their nations a 'fame', a heroic identity, in the face of a universe characterized from the beginning of the play as conditioned by a loss of purpose and by the governance of accident.
★まず Where と here が呼応関係にあることに気づく必要がある。Where は接続詞で whereas の意味と同じ。主節と反対の節を導いて「...のに」という意味になる。
★ condemned and condemning to は「受動的に運命づけられる」と「主体的に運命づける」が同時に存在していることを示す。
★apparently は「表面上は」と「明らかに」という二つの意味があるから英文解釈のときは注意が必要である。
★ hereは「『ヘンリー六世』1 部では」ということをあらわし、here 以下が主節である。
★ moments of decision は「決定の瞬間」と訳してよいが、どのような意味かは解釈によってだいぶ異なってくる。
★ the farcically unpredictable は、the+形容詞の用法で抽象的な意味を持つ。
★ fame に引用符が付いているのは、その fame という言葉が普遍的な意味を持たず、個々人の解釈するfame という意味である。
★ a heroic identity の前に and がないので、fame と同格と考えるべきであろう。あるいは前の句と同格かもしれないが、これは筆者に聞いてみないと分からない。
★ characterized は、当然 as 以下と呼応している。試訳では日本語らしく翻訳している。
試訳をしてみると
二つの他の劇 (『ヘンリー六世』2 部と 3 部) では、明らかに取り返しのつかない破滅的な行為あるいは無活動の成行きに運命付けられ、また自ら運命づけている登場人物を、我々は認識しているのに、『ヘンリー六世』1 部では、目的の喪失や偶然の支配という条件をもつように、劇の最初から特徴づけられた世界を前にして、滑稽なほど予測不可能に対する感覚や、彼ら自身や彼らの国のために「名誉」すなわち英雄的個性を作り上げるという自己肥大した狭量という感覚とともに、決定の瞬間が観客には明らかにされている。
日本語訳を読んでも意味がわからないが、要するに、『ヘンリー六世』の 2 部、3 部では、登場人物の行為の原因やその行為を決定する瞬間が提示されていないが、1 部ではそれらの瞬間が観客に明らかになるようにされている、ということである。
(このブログを読んでいると、英語の勉強ができるところがすごい!)

