顔の表情の解釈 (Interpretation of Facial Expression)
2021 年に実施された岩手大学の英語入試問題には、東洋人と西洋人では、顔の表情の解釈が異なるという英文が取り上げられている。東洋人は話し相手の感情を読み取るのに、相手の目を見て判断するが、西洋人は相手の顔全体を見て、判断しているようだ。
グラスゴー大学の Rachael Jack が率いるチームは、東洋人と西洋人は相手の顔を違ったやり方で見ている、という内容の論文を発表した。その違いのために、相手の表情を理解するときに、相手が恐怖を感じているか、驚いているかを判断するのに、東洋人は苦しむことになる。
Jack and her team say that people from Japan and China generally have a tougher time that those from European countries in deciding if a facial expression is fearful or if it looks surprised.
(訳) 日本や中国の人々は、ヨーロッパの国々の人より、相手の顔の表情がおびえているか、驚いているのか、判断することが困難であると、ジャックと彼女のチームは論じている。
東洋人は相手の目を見て、相手の感情を判断するが、西洋人は相手の顔全体を見て、相手の感情を推測する。
East Asians pay attention to people's eyes, but Westerners look across the whole face. To Westerners, the eyes and the mouth are equally important. However, to Easterners, the eyes are key to understanding people's emotions.
(訳) 東洋人は人々の目に注意を向け、西洋人は顔全体を眺める。西洋人にとって、目と口は同じように重要である。しかし、東洋人にとって、目は相手の感情を理解するのに主要なものである。
ヨーロッパ人は相手の顔全体を見て、感情を判断してるのに、東洋人は相手の目を見て感情を推し量り、口はあまり見ていない。そのために異文化で育った人同士では、誤解が生じることがある。
In other words, while Westerners looked at the whole face to find out the person's emotion, Easterners use the eyes more and the mouth less. This result contrasts with earlier research by Paul Ekman, who argued that these emotions are universal.
(訳) 他の言葉で言えば、ヨーロッパ人は相手の感情を知るために、顔全体を見るが、東洋人は目を見て口をあまり見ない。この結果は、感情は普遍的であると論じたポール・エクマンの以前の研究とは異なっている。
私は相手の顔全体や態度を見て、相手の感情を推測しているつもりであるが、ひょっとすると、目をもっとも重要視しているかもしれない。この英文で日本人の対人関係をもう一度考えさせられたが、もっとも注意すべきことは、話し相手の発する全体的な雰囲気に目を向けることであろう。またこちらが嫌いであれば、相手も嫌いになるし、こちらが好意を持って接すれば、相手も好意で反応してくれることも多い。
人間関係がもっとも煩わしいものであるが、この人間関係なくして有意義な生活は送れない。