人間の言語について (Human Language)
この後のブログの項目で、学習院大学の「大学は何のために存在するか?」を扱う予定であるが、ここでは同じ入試問題 (2016 年実施学習院大学の文学部) に取り上げられた「人間の言語について」の英文を紹介したい。
まず問題英文の作者は、人間の言語には二つの機能があると述べている。
What is language for? It fulfils two main functions: it tells us about things, and it allows us to interact, in various ways, with other members of our species―from encounters in shops and banks, to chatting with friends, family and lovers.
(訳) 人間の言語は何のために存在するのであろうか?それは二つの主な機能を果たす。一つは、私たちに事物についての情報を与える。そしてお店や銀行での出会いから、友達、家族、恋人との話し合いまで、様々な方法で他の人間と触れ合いをさせる。
人間の言語は、他の生物が持つコミュニケーション方法と共通性がある。例えば、スズメバチの色やチンパンジーの動作、ミツバチのダンスなどは、人間の言語と同じような働きをしている。しかし人間の言語がもつ特徴は柔軟性である。他の生物のコミュニケーションは限定されているが、人間の言語は多様性および柔軟性を持っている。
But human language is much more flexible in the variety of situations that it can refer to, from declaring eternal love to negotiating a peace treaty to commenting o the weather.
(訳) しかし人間の言語は、永遠の愛を表明することから、平和条約を交渉したり、天候を論じることまで、それが示すことのできる様々な状況において、他の生物よりはるかに柔軟である。
人間の言語の柔軟性は、他の点でも存在する。それは共同体によって、異なった言語体系を持っているからである。スワヒリ語、日本語、英語には独特の表現方法であるが、これは言語体系そのものが柔軟性を持っているからである。
And, it is flexible in another way too―different communities of humans adopt different linguistic varieties: Swahili, Japanese and English are all quite distinct, in a range of ways. This is because the system itself is naturally flexible. Its flexibility arises from a process that allows us to combine otherwise meaningless symbols.
(訳) 人間の言語は、他の点でも柔軟性がある。異なった共同体は、異なった言語体系を採用しているからである。スワヒリ語、日本語、英語は、様々な点で、まったく異なったものである。これは言語システムそのものが、もともと柔軟だからである。言語の柔軟性は、他の場合では意味を持たないシンボルを結び付けることを可能にするプロセスから生じているのである。
人間以外の生物のコミュニケーションは、限定的で柔軟性がないが、人間は複雑なニュアンスも表現できる言語体系を持っている。言語は人間を他の生物と明確に分けるものであろう。
