男性脳と女性脳 (Male and Female Brains)

脳の構造図 (「看護roo!」さんのホームページより)

脳の構造図 (「看護roo!」さんのホームページより)

 

 2023 年 9 月 7 日の Psychology Today に「精神に関する 10 の神話」という文章があり、その中の一つの項目に、男性脳と女性脳には若干の差異がある、という説明があった。肉体的な差異は明白であるが、脳に関しても男女差は少し存在するらしい。

 因みに、Psychology Today は英語の例文が見つからない時には、時々このサイトにお邪魔して、例文を拝借して来た。様々な文例が存在して、このブログの筆者には有難いサイトである。

男性脳と女性脳の違いを無視する傾向

 まず最近の傾向では、男性脳と女性脳の違いを無視することが流行しているようだ。

Few would deny that men and women differ physically: While tall, muscular women abound, men are, on average, taller than women and have much greater grip strength. But their brains and behavior reflect no significant differences, argue many people, including some psychologists. Increasingly, it seems, it is de rigueur to reject or downplay psychological differences between the sexes—despite substantial scientific evidence that they exist.

(訳) 背が高く、筋肉質な女性がたくさんいる一方で、男性は平均して女性よりも背が高く、握力もはるかに高い。しかし、彼らの脳と行動は大きな違いを反映していないと、一部の心理学者を含む多くの人々が主張している。男女間の心理的な違いを拒絶したり、軽視したりすることは、違いが存在するという実質的な科学的証拠があるにもかかわらず、ますます当然のことのように思われている。

 だが男性脳と女性脳の違いはある。例えば、女性は他人への思いやりが深く、空間上の物体について言えば、男性脳は動的感覚、女性は静的感覚に優れている。これは進化の過程で生じたようである。

Women tend to engage in more altruistic behavior and rate higher on certain measures of empathy. Men, on average, perform better on tasks in which they mentally rotate an object, while women can better remember the location of objects. Evolutionary theorists postulate that sex differences arose because male and female hominids faced different reproductive and survival pressures.

(訳) 女性はより利他的な行動をとる傾向があり、共感という尺度では、男性より高い評価を得る。 平均して、男性は物体を心の中で回転させる作業では、女性より優れた能力を発揮するが、女性は物体の位置をよりよく覚えることができる。 進化論者は、このような性差が生じたのは、オスとメスのヒト科が、異なる生殖と生存の圧力に直面したからだと仮定している。

男性は自閉症、女性はアルツハイマーにかかりやすい

 さらに男性は自閉症にかかりやすく、女性はアルツハイマーにかかりやすい。これは診療に役立つ知見である。

Men are also much more likely to be diagnosed with autism spectrum disorder, for instance, while rates of mood disorders and Alzheimer’s disease are higher among women. These sex differences can have important implications for understanding and treating disorders.

(訳) また、男性は自閉スペクトラム症と診断される可能性がはるかに高く、気分障害やアルツハイマー病の割合は女性の方が高い。これらの性差は、障害の理解と治療に重要な意味を持つ可能性がある。(訳注―自閉スペクトラム症とは、言葉や、言葉以外の方法、例えば、表情、視線、身振りなどから相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが苦手である、特定のことに強い関心を持っていたり、こだわり行動があるといったことによって特徴付けられる)

トラウマの内在化は女性、外在化は男性

 また女性はトラウマを内在化し、男性は反対に外在化して、破壊的な行動を引き起こしやすい。

Among those findings, notes co-author and Virginia Tech neuroscientist Georgia Hodes, is that “boys and girls, particularly adolescents, had different responses to experiencing post-traumatic stress disorder. Girls had internalizing symptoms, such as self-blame, and boys engaged much more in externalizing behavior,” including acting disruptively. It could be useful, she says, for adults to recognize that the same disorders can produce considerably different symptoms.

(訳) それらの発見の中で、共著者でバージニア工科大学の神経科学者であるジョージア・ホーデス氏は、「少年少女、特に青年期は、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の経験に対して異なる反応を示した。 女の子は自責の念などの内面化する症状があり、男の子は破壊的な行動を含む外在的行為に向かうことがかなり多い」ことに注目している。 同じ障害でもかなり異なる症状を引き起こす可能性があることを、大人が認識することは有用であると、彼女は言っている。

 誰も男女はまったく異なると主張しているのではなく、これらの差異を認識していることは重要であろう。

“No one’s saying that men and women are completely different beings. There is probably more that overlaps than is different,” Hodes says. “But we need to understand these differences. I think it becomes especially important when you’re trying to develop better treatments.”

(訳) 「男性と女性がまったく別の存在だとは誰も言っていない。おそらく、異なるものよりも重なり合うものの方が多いでしょう」と、ホーデスは言っている。「しかし、私たちはこれらの違いを理解する必要がある。より良い治療法を開発しようとするときには、特に重要になると思う」

 男性脳と女性脳は、性向や反応がかなり違うので、私たちはその事実を認識しておく必要があることは確かである。