中世の健康法 (Medieval Advice for Living Forever)

ケンブリッジのトリニティ・カレッジ ヘンリー八世によって1546 年に創設 多くのノーベル賞受賞者を輩出している このカレッジの創設は中世の時期より少し後になる
Time の 2023 年 11 月 27 日号に、中世における長生きの方法に関する英文があった。長生き志向は、現代の風潮だと思っていたが、中世の人も長く生きたいという願望はあったようだ。
中世にも長生きした人は存在した
中世ではペストなどが流行り、多くの人々が死んでいるが、イタリアでは人口の約 15 %が 65 歳以上の町がいくつかあったようだ。中世についての現代人のイメージでは、若年で多くの人が亡くなったという暗いものばかりであるが、中には長生きした人もいるようだ。
Although plague and other infectious diseases brought high death rates in medieval Europe, those who reached adulthood had a reasonable chance of surviving into their seventh or eighth decade; in some early 15th century Italian towns, around 15% of the population was over 60. Just like us, medieval people wanted to live long, healthy lives and hoped to emulate long-lived relatives. The 14th-century Italian poet Petrarch’s grandfather supposedly lived to be 104, while the Florentine politician Donato Velluti (1313-70) claimed that his ancestor Bonaccorso di Pietro (d. 1296) reached 120. In his final years, Velluti described him as blind and very stiff, but still active and sharp-minded.
(訳) 中世のヨーロッパでは、ペストや他の感染症のため、死亡率も高かったが、成人した人は 70 歳、80 歳まで生き延びる可能性が十分にあった。15 世紀初頭のイタリアのいくつかの町では、人口の約 15 %が 60 歳以上であった。私たちと同じように、中世の人々は健康で長生きすることを望み、長寿の親戚と張り合うことを望んでいた。14 世紀のイタリアの詩人ペトラルカの祖父は 104 歳まで生きたとされ、フィレンツェの政治家ドナート・ヴェッルッティ (1313-70) は、彼の祖先であるボナッコルソ・ディ・ピエトロ (1296 年没) が 120 歳に達したと主張している。晩年、ヴェッルッティは、祖先のピエトロは盲目で非常に頑固であったが、それでも活動的で鋭い知性持っていたと描写した。
中世の医師たちのアドバイス
それでは中世の医師たちは、長生きのためにどのようなアドバイスをしたのであろうか。運動や十分な睡眠、精神面への気配りなど、現代の私たちが信じていることを、中世の人々も信じて実行していたようである。また中世の人々は、断食による健康法にも興味を持っていたようである。
Medieval doctors told their patients to exercise, get enough sleep, take care of one’s mental health, and avoid excessive alcohol consumption. Above all, it was important to eat a healthy diet, a subject which is covered in exhaustive detail in both medieval and modern regimens. In addition, medieval people were intrigued by the possibilities of fasting.
(訳) 中世の医師は、運動し、十分な睡眠をとり、精神衛生に気を配り、過度のアルコール摂取を避けるように患者に告げた。何よりも、健康的な食事をとることが重要であり、このテーマは中世と近代の両方の養生法で徹底的に詳細に取り扱われている。さらに、中世の人々は断食の可能性に興味をそそられていた。
危険なアドバイスや滑稽なアドバイス
しかし中には、眉唾物もあった。例えば、若い人の血液に健康になる要素があると信じて飲んだり、生理前の若い女性を抱いて寝るとよいというものまであった。さらに金 (元素記号 Au、原子番号 79) の力を借りる人々もいた。多くの聖職者は、金を食事に混ぜて摂っていたようである。
Increasingly, however, the ultimate ingredient for the medieval health freak was gold—a perfectly composed and virtually indestructible element which would help the human body to exist in a state of perfect health for many years. According to the papal physician Arnold of Villanova (d. 1311), many clerics sucked gold nuggets or drank potable gold with their meals.
(訳) しかし、中世の健康マニアにとっての究極の成分は、人体が長年にわたって完璧な健康状態を保つのを助ける、完璧に構成され、事実上破壊されない元素である金であった。 教皇の医師アーノルド・オブ・ヴィッラノーヴァ (1311 年没) によると、多くの聖職者は食事と一緒に金塊をなめたり、飲用可能な金を飲んだりしていた。
長生きしようとしても不慮の事故で死ぬこともある
しかし長生きをしても事故で死んだり、暗殺されたりする人物もいる。そこで長生きには、富と「幸運」が必要となるのである。
Nor is there any guarantee that you will outwit fate, which seems to have a sense of humor. Pope John XXII (d. 1277) repeatedly and very publicly claimed that he knew how to prolong his life by many years, only to die when a ceiling collapsed on him. Gabriele Zerbi also met an untimely end, murdered by the disgruntled family of a patient. In the Middle Ages as today, medical knowledge might extend your life—but only if you were possessed of both wealth and good luck.
(訳) また、ユーモアのセンスがあるように見える運命を出し抜くという保証もない。 教皇ヨハネス 22 世 (1277 年没) は、自分の寿命を何年も延ばす方法を知っていると繰り返し公に主張したが、天井が崩れ落ちて死んだ。 ガブリエレ・ゼルビもまた、不満を抱いた患者の家族によって殺害されるという早すぎる最期を迎えた。 中世でも今日でも、医学の知識は寿命を延ばすかもしれないが、それは富と幸運の両方を持っていた場合に限る。
人間は楽しく生きて、死ぬときには従容と死んでいくことが、一番良い死に方かもしれない。その悟りに到るには、長い禅の修行が必要となるかもしれない。


