大学入学試験の思い出 (A Memory of the University Entrance Exam)

ブログの作成者が勤めていた大学 移転前の旧校舎であるが現在は取り壊されている

 

 長い間、大学教員をしていると、いろいろな思い出が残るものである。そろそろ大学入試の時期に近づいているので、入試関係の思い出を書いておこう。

 ある年の個別学力試験第 1 日目のとき、入試問題作成委員会委員長の仕事のために、勤務している大学キャンパスを歩いていると、受験生である女子高校生に声をかけられた。

 ある受験生がキャンパスで迷う

 「自分が受験する教室を教えてほしい」とのことであった。事情を聞けば、昨日、風邪をひいて受験する教室を確認できなかったようだ。彼女の受験学部は経済学部であったが、受験生から声をかけられた場所は、文型キャンパスからかなり離れた工学部キャンパスであった。ここから歩いて10 分弱はかかるはずだ。この大学では、文系と理系のキャンパスが少し離れている。もっとも大学が新しく引っ越したところでは、もっと文系と理系が離れているが....

 すぐに知り合いの入試課の事務の方に携帯で連絡をとり、経済学部の受験場所を聞いた。その時、生憎なことに、旅行用カバンを押して歩いている受験生が近くを急いで通り過ぎており、カバンの車輪の響きが大きく、入試課の方の声が聞き取りにくかった。おまけに運が悪いことに、そのとき頭上に飛行機が飛んでいた。このキャンパスは、飛行機が頭上を飛来することで有名であった。ようやく文系にある経済学部の受験場所を聞き出して、彼女と一緒にそこまで歩いて行った。

受験生の夢

 試験会場の教室に向かう途中、いろいろなことを彼女と話したが、彼女の将来の夢も聞かせてもらった。10 年以上経った今では、その夢の内容はまったく覚えていないが、彼女の夢を聞いて、その夢が叶うことを心より祈った。彼女が受験室に入るとき、名刺を渡して、「この大学に合格したら、私の研究室を訪ねて来なさい」と言ったが、彼女はとうとう研究室に現れなかった。おそらく受験に失敗したのであろうが、偶然にも声を交わした人なので、彼女の夢が実現することを、それからいつも祈っていた。そして心の中で、いつも「頑張ってください」と彼女に声をかけていた。彼女がこのブログを読むことはないと思うが、彼女の心にも私との会話が少しでも残っていれば嬉しいものだ。

石川県の大地震

 2024 年 1 月 1 日に、石川県に大地震が発生して、多くの方が亡くなり、また多くの方が避難所で暮らしておられる。一刻も早く救済の手が届くことが望まれるが、道路が寸断し物資の配給が遅れているようだ。日本人の多くの方がボランティアで手助けをしたいと考えているが、一般人はかえって迷惑をかけるので、しばらく遠慮してほしいとのことである。今は警察や消防、自衛隊の方たちが不眠不休で頑張っておられる。

 地震にあわれた人の中に、大学入試の受験生もいるはずである。大学受験生たちが落ち着い受験できればと思う。日頃の実力を発揮してほしいと切に祈りたい。

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