自信過剰の弊害 (Overconfidence Effect)
自信過剰が様々な弊害を生むことはよく知られている。自信過剰は楽観的な見通しを招き、会社経営や人生設計に大きな支障を来す。
2021 年に実施された国際教養大学の英語入試問題には、その自信過剰をテーマとする英文が、問題として提出されている。ただこの大学の問題は、英文読解ではなく、この英文を基にして、英文エッセイを書かせることである。国際教養大学は、英文読解の力と英語で発信する能力を、受験生に求めている。
問題英文は、まず "overconfidence effect" の意味を明確にしている。
For clarification, the overconfidence effect is not about the accuracy of people's knowledge. Indeed, the overconfidence effect measures the difference between what people think they know and how much they actually know.
(訳) 明確にするために言っておくが、「自信過剰の弊害」は、人々の知識の正確さに関するものではない。実際には、「自信過剰の弊害」は、人々が知っていると考えていることと、人々がどれほど多くのことを知っているかの違いを、測定することである。
この自信過剰の弊害は、一般人より専門家のほうが大きいようである。
One important finding from that research is that experts suffer even more from the overconfidence effect that average people do.
(訳) この研究から得られる重要な発見は、専門家たちは普通の人々より、多くの「自信過剰の弊害」から影響を受けている。
自信過剰が危険なのは、この傾向が人間内部に生まれつき存在するからである。
What makes the overconfidence effect so dangerous is that it is not created by external factors. The overconfidence effect is ― unfortunately ― innate to humans. The lesson we can take from this is that humans tend to overestimate their knowledge.
(訳) 「自信過剰の弊害」を危険にするものは、それが外的要素から引き起こされていない、ということである。不幸なことに、「自信過剰の弊害」は、人間が生まれつき持っているものである。これから私たちが得られる教訓は、人間は知識を過剰評価しがちである、というものである、
多くの人が事業に失敗するのは、自信過剰で見通しが甘くなったからであろう。事業に対して厳しい意見を持っている人の考えを、じっくり検討してみることは、すべての経営者には、必要な事であろう。ただこれほど困難なこともない。バラ色の夢を見なければ、事業を起こす気にもなれないし、甘い見通しがなければ、活力も湧いてこない。やはりすべてのことに当てはまるが、日々の反省が必要であろう。