平常心を保つ方法 (Ways to Preserve your Equanimity)

山岡鉄舟 (1836-1888)
西郷隆盛と勝海舟の会談を実現させて、江戸城の無血開城に導いた
Psychology Today の 2024 年 5 月 14 日号に、平常心を保つ方法の投稿があった。すべての人に役立つ内容なので、このブログで扱うことにしたい。
筆者は、Seth J. Gillihan で心理学の博士号取得者である。彼は、インディアナ大学 (Indiana University) でフランス語と生物学の学士号を取得し、ついでジョージ・ワシントン大学 (The George Washington University) でコミュニティ・カウンセリングの修士号を得て、ペンシルベニア大学 (University of Pennsylvania) で臨床心理学の博士号を取っている。
平常心を保つ 3 つの方法
まず、3 点の重要事項を掲げている。
1. The philosophy of Stoicism offers greater flexibility in how you respond to challenging people.
2. It teaches that your interpretations, rather than events themselves, are the true source of upset feelings.
3. Peace of mind comes from redirecting your energy to the things you can actually control.
(訳) 1. ストア哲学は、挑発的な人々に対する反応に、大きな柔軟性を提供する。2. ストア哲学は、出来事自体ではなく、出来事の解釈が取り乱した感情の原因であると教えている。3. 心の平和は、現実的にコントロールできる事にエネルギーを向けなおすことから得られる。
一番目のアドバイス
最初のアドバイスから、彼の意見を見てみよう。最初の要点は、「出来事ではなく、出来事についての判断が人を当惑させる」 (Judgments, Not Events, Disturb People) であるが、Seth J. Gillihan は次のように説明している。筆者は、車の運転中、後続の車から異常に接近されて、怒りそうになる。しかし、彼はこのように考えて気持ちを抑える。
It wasn't the driver's actions that upset me, it was the meaning I gave to them. When someone does something that offends you, ask yourself what is fact and what is interpretation.
(訳) 私の心を乱したのは、運転手の行為ではなく、私が彼の行為に与えた意味であった。誰かがあなたを不快にさせる行為をしたら、何が事実で、何が判断か、自分に問いかけなさい。
二番目のアドバイス
筆者の二番目のアドバイスは、「他人に心の平和を自由にさせるな」 (Don't Give Your Peace of Mind to Others) である。確かに、他人に心の平和を乱されるのは馬鹿らしい。そうなっては相手の思うつぼである。
Why give difficult people power over how you feel and what you do? Your emotional equilibrium is not to be entrusted to the actions of others. You can let people be rude or unreasonable, without acting as if your only recourse is to get upset and respond in kind.
(訳) どうして偏屈な人に、あなたの感情や行動に対して、支配権を与えるのだろうか。心の平静は、他人の行動に、任せられるべきではない。唯一の手段が当惑して相手と同じような反応するかのように振る舞わずに、相手を粗野で無分別な行為をさせておくこともできる。 (訳注 ― in kind については、repay a person's insult in kind という英文を参考)
三番目のアドバイス
最後のアドバイスは、 「コントロールできることに集中しなさい」"Focus on What You Can Control" である。言い換えれば、自分がコントロールできないことは、かかわるなということである。
Unfortunately, we often practice anti-Stoicism. We give most of our energy to what others are doing, stewing in our outrage ("They said what?!") and trying hard to force them to change. In the process, we neglect the responsibility we have for ourselves, as if other people are making us behave in a particular way.
(訳) あいにく私たちはしばしばストア哲学の反対を実践している。他人が何をしているかにほとんどのエネルギーを使い、怒りにやきもきし (彼らは何を言ったのだ?) 、懸命に相手を変えようとする。その過程で、あたかも他人が私たちをある特定の行動を取らせたかのように、自分自身に対する責任を無視することになる。
このような有難い助言を聞いても、私たちはすぐには行動を変えることはできない。しかし、他人の行動より、自分の心の平静がもっと重要であることを、常に認識すれば、少しづつではあるが、嫌な人への反応の変化は、期待できるのではなかろうか。永遠に一度しかない自分の人生は、大切にすべきである。