ロール・モデルについて (On a Role Model)

 2020 年のセンター試験 (英語) を見ていたら、” a role model” という言葉が目についた。その文章では、語り手が選んだ二人のロール・モデルの特徴は、他人の不幸に同情し、人を助けることで世界をいい方向に努力する人と語られている。 (The main characteristics of my two role models are that they sympathize with other people’s distress and are committed to improving the world by helping others.)

 “a role model” という項目に、竹林滋『新英和大辞典』第六版 (研究社、2002 年)では「役割モデル<何らかの社会的役割がよく果たせて、他人の見本になるような人>」と説明している。しかし犯罪者などをロール・モデルに選択するような人もいるので、ロール・モデルがすべて立派な人とは限らない。そこで Oxford Dictionary of English Second Edition (Oxford University Press, 2005) で “a role model” の項目を引いてみると、’a person looked to by others as an example to be imitated’ と定義付けているので、立派なロール・モデルばかりではないのであろう。

 Stanton Samenow 博士が Psychology Today で論じているが、人が最初にロール・モデルに選択する人物は両親が多い。もし両親が犯罪者であれば、その子供も犯罪者になる確率は大きいと考えられる。しかし同じ家庭内の兄弟姉妹では、両親と同じように犯罪者になるとは限らない。 (However, their siblings did not emulate their parents and become delinquents or criminals.) 博士は論文の最後に「ロール・モデルが重要なことは否定できない。しかしロール・モデルが必ずしもどのような人間になるかを決めるとは限らない」 (There is no denying that role models are important. But they do not necessarily determine how we will turn out. ) と結論している。

 人は生まれた時の環境が重要であることは間違いないが、その環境が人格形成に決定的な影響を与えるとは限らないということである。少し希望が見えてきた。

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