大学は何のためにあるのか? (What is the Purpose of a University?)

ブログ作成者がイギリス留学中に通っていたケンブリッジ大学 

 

 2016 年実施の学習院大学 (文学部) の英語入試問題は、大学の存在意義を真正面から取り上げた英文を問題としている。

 まず、return on investment というフレーズが、大学に関してよく使用される事実を取り上げる。return on investment は「投資利益率」と訳されるが、要は投資した金額に見合う利益があったかどうかを問題にする言葉である。

 筆者はこのような議論の下部にある原理が重要であると説いている。

But we never talk about the principles that underlie this conversation, as if what makes for a happy life or a good society were perfectly obvious, and as if in either case the one and only answer were money.

(訳) しかし、あたかも何が幸福な人生や良き社会を作るかということは、完全に明白であり、どちらにしても、唯一の答えはもっと金を儲けることであるかのように、私たちはこのような会話の根底にある原理・原則を決して話すことはない。

 大学は何のために行くかと尋ねることは、結局は人生とは何かを考えることと同じである。

To ask what university is for is to ask what life is for, what society is for: in other words, what people are for.

(訳) 大学が何のために存在するかと尋ねることは、人生は何のためにあるか、社会は何のためにあるか、他の言葉で言えば、人々は何のために生きるかと尋ねることと同じである。

 人は大学に行く見返りを考えるが、子供を産んで育てることや、友達と過ごすこと、本を読むことに見返りを求めるであろうか。

Of course, you need to get a job, but you also need to get a life. What's the return on investment of university? What's the return of having children, spending time with friends, reading a book, doing volunteer work, traveling? The things that are most worth doing are worth doing for their own sake.

(訳) もちろん仕事を得る必要はあるが、充実した人生を送ることも必要である。大学の見返りは何かと聞くが、それでは子供を儲けることや友達と過ごすこと、本を読んだり、ボランティアで働くことや旅行に行くことの見返りはどうなのであろうか。もっともすることに価値があることは、それ自体することに価値がある。

 大学に行く見返りを尋ねることは、「完全な人間性」を持ち続ける能力を尋ねることと同じである。

When we ask ourselves what university is for, we must remember that the question is really about our ability to remain fully human.

(訳) 大学は何のために存在するかと問う時には、その質問が完全な人間性を持ち続ける能力に関する質問であることと、私たちは覚えておかなくてはならない。

数 年間という貴重な時間と多額の金銭を使って大学に行くことは、単に給料の高い会社に入ることが目的ではないはずだが、現在の世相では、就職に役立たない人文学を専攻する学生が、減少することは仕方ないことかもしれない。これから大学受験の季節が始まるが、大学の目的を考え続けることは、社会にとって有益なことであろう。

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